京大准教授の投資日記 ~優待バリュー株で楽しく億る~

若手京大准教授(理系)が優待バリュー投資をベースとしつつ、「楽しく」億り人を目指します!

書評・本多静六「私の財産告白」

 

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最近、貯蓄・投資本の名著である本多静六『私の財産告白』を読みました。

帯にあるように、インベスターZというコミックで紹介されていたのが、きっかけです(本の存在自体は前から知っていたのですが、読むきっかけがなくて読んでいませんでした)。

 

著者は、戦前の東京農林学校(現在の東大農学部)の教授で、研究生活のかたわら、多数の著作を執筆し、日比谷公園の設計など大きな事業にも携わりました。そして、貯蓄と投資により大きな財産を築いたことでも有名です。

 

本書は、著者の蓄財投資法だけでなく、人生哲学まで記され、研究者の端くれである私にとって大変学ぶところの大きい本でした(もちろん学者以外の方々にも非常に参考になります)。

 

本ブログでは、備忘録もかねて、印象に残ったフレーズを紹介していきます。 

 

 1 なぜ貯蓄・投資するのか?

みなさんは、なぜ貯蓄や投資をしていますか?

アーリーリタイヤがしたいから、〇〇が欲しいから、老後の生活費のため、投資自体が楽しいから……

人それぞれ、いろいろ動機は違うかと思います。

本多静六は、ドイツ留学中にドイツの学者から授かった次の教えをもとに、貯蓄・投資をしてきたと言います。

「いかに学者でも、まず優に独立生活ができるだけの財産をこしらえなければだめだ。そうしなければ常に金のために自由を制せられ、心にもない屈従を強いられることになる。学者の権威も何もあったものでない。」

 

要するに、学者としての自由、すなわち、お金の心配をせずに自分がやりたい事をとことん追求することができるようになることが、著者の資産形成の動機だったのですね。

 

このことは、いまの研究者、そしてサラリーマンの方々にも当てはまるように思います。お金や雇用の心配があると、嫌な仕事、やりたくない仕事でもやらざるを得ないことがあります。これに対して、金銭面で自立していれば、好きなことを追求できます。実際、著者は次のように書いています。

経済的な自立が強固になるにつれて、勤務の方にもますます励みがつき、学問と教育の職業を道楽化して、いよいよ面白く、人一倍に働いたものである。

 

学問と教育を道楽にするというのは、すごい考えですね。お金の心配をせず、好きなようにやったということなのですが、むしろそのことが大きな成果につながり、かえって収入の増加にもなっているところが、著者の凄いところです。

 

私も、著者のように「自由に生きる」ための手段として、貯蓄・投資に励んでいます(投資自体が楽しいということも大きいですが)。

 

もちろん、投資する目的は、これに限られません。しかし、投資する目的が何なのかをはっきりしておくことは重要です。それによって、採るべき投資手法が変わってきうるからです。もし、目的が明確でない方がいれば、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。

 

2.貯蓄・投資の考え方や手法

いつの時代・いかなる場合も、 勤倹貯蓄が資産蓄積の基礎(雪だるまの芯)をなし、工夫と研究を積んだ投資が、これを倍化していくことに変わりはない。

これが、資産形成に関する、著者の基本的な考え方です。

 

そして、貯蓄の仕方については、次の有名な手法を採用しています。

あらゆる通常収入(※利子・配当を含む)は、それが入ったとき、天引き4分の1を貯金してしまう。さらに、臨時収入は全部貯金して、通常収入(※利子や配当のこと)増加の基に繰り込む

いわゆる「先取り貯蓄」ですね。これは貯蓄の基本戦略です。

私も、月給から20万円(約3分の2)を先取りで証券口座に入金するという「先取り投資」を行っています。原稿料や講演料などの臨時収入(ごくたまに発生)については100%入金し、ボーナスについては、少しだけ旅行などに使い(さもなければ妻の怒りをかってしまいます)、80~90%ほどを「先取り投資」しています。

(参考記事) 

shima-jin.hatenablog.com

shima-jin.hatenablog.com

 

投資の心構えについては、次のように書かれています。

何事にも「時節を待つ」ということだ。焦らず、怠らず、時の来るのを待つということだ。投資成功には特にこのことが必要である。

投資戦に必ず勝利をおさめようと思う人は、なんどきも、静かに景気の循環を洞察して、好景気時代には勤倹貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時期を逸せずに巧みに繰り返すよう、私はおすすめする。

忍耐強く待つことの大切さが説かれていますね!

 

そのうえで、具体的投資手法として、著者は「二割利食い、十割益半分手放し」という手法を採用してきました。

まず、ある株を買おうとするときは、いつもその全額の買受金を用意してかかった。買い付けは取引が容易な点から常に先物を選んだ(いかに値下がりしても全部の買受金が用意してあるからビクともしない)。そして、引き取り期限の来る前に思わぬ値上がりがあったときは、買値の2割益というところで、きっぱり利食い転売した。

 

つぎに、引き取った株が長い年月の間に2倍以に騰貴することがある(反対に値下がりすることもあるが、この場合無理のない持ち株だからいつまでも持ち続ける。したがって、絶対に損はしない)。そのときは、まず、手持ちの半分を必ず売り放つ。つまり投資元金だけを預金に戻して確保する。したがって、残った株は全くのタダということになる。タダの株なら、いかに暴落しても損のしっこはない。

 

最後の点は、いわゆる「恩株」というやつですね。この考え方は、経済的合理性はないのですが、精神衛生面で非常に良い投資戦略です。投資においてメンタルはきわめて重要ですよね。

 

3.人生哲学 

最後に、本書には、著者の人生哲学が端々にあらわれており、これまた大変感銘を受けました。

 

(1)財産の使い方が大切

まずは、大きな財産を築いた場合、その使い方をよく考えるべきだという点です。特に、「子孫に財産を残す」という、ありがちな使い方に警鐘を鳴らしています。

「幸福とは何ぞや」という問題となると、それは親から譲ろうとおもって譲れるものでなく、またもらおうと思ってもらえるものでもない。幸福は、各自、自分自身の努力と修養によって勝ち得られ、感じられるもので、ただ教育とか財産さえ与えてやればそれで達成できるものではない。

健康も大切、教育も大切。しかし、世間で最も大切だと早合点している財産だけは全く不要で、それよりももっと大切なのは、一生涯たえざる、精進向上の気魂、努力奮闘の精神であって、これを生活習慣の中に十分にしみこませることである。 

親譲りの財産などは何ら利益をもたらさないのみか、かえって無用の負担とならぬとも限らぬ。それよりも、子孫は子孫をして、おのれの欲するまま、自由に奔放に活動し、努力させる方がどれだけいいかわからぬ。子孫を本当に幸福ならしめるには、その子孫を努力しやすいように教育し、早くから努力の習慣を与え、かつできるだけ努力の必要な境遇に立たしめることである 

 

著者は、財産の大部分を、子孫に残さず、学校・教育・公益関係の財団に寄付しています。

私も、将来、もし数億円、数十億円の資産を築くことになれば(そんな心配は無用かもしれませんが)、寄付したり公益事業を起こしたりして、社会のために使いたいと思います。

もちろん、子供の教育費用はしっかりと出してあげます。しかし、それ以上のお金をあげることはしないでおこうと思います(自分で稼いで自立できるように育てたいです)。

 

 

(2)好きな事を仕事にするのではなく、仕事を好きになる

「好きなことを仕事にすべし」という話がありますが、実際、そう簡単に仕事にできるわけではありませんし、好きなことが見つからない人もいるでしょう。著者は、逆に、仕事に打ち込め、そうすれば好きになると言っています。

職業を道楽化する方法は、ただ一つ勉強に存する。努力また努力のほかない。あらゆる職業は芸術と同じく、初めの間こそ多少苦しみを経なければならぬが、何人も自己の職業、志向を天職と確信して、迷わず疑わず一意専心努力するにおいては、早晩必ずその仕事に面白味が生まれてくる。一度、その仕事に面白味が生ずれば、もはやその仕事は苦痛ではなく、負担ではない。

商人でも、会社員でも、百姓でも、学生でも、少しその仕事に打ち込んで、勉強し続けていれば、必ずそこに趣味を生じ、熱意を生み、職業の道楽化を実現することができる。

平凡人は、いついかなる場合も本業を第一たるべきこと。一つのこと。1つのことに全力を集中して推し進むべきこと。これが平凡人にして、非凡人にも負けず、天才にも負けず、成功を勝ちうる唯一の道である。しかも、職業上の成功は、他のいかなる成功にもまして、働くその人自身にも、またその周囲の人々にも人生の最大の幸福をもたらすものである。

 

端的に言って、著者は「努力の男」です。実際、著者の座右の銘は、「人生即努力、努力即幸福」です。世間では、努力をダサいとみる風潮もありますが、そういう考えの方がダサいと私は思っています。

 

なお、私も仮にも京大准教授になれたくらいですから、高校~大学院まで相当努力してきました。最近、少し仕事に対すろ熱意が冷め、努力が減ってきたかもしれません(株式投資が面白く、そちらに時間と労力を取られているという面は否定できませんが(笑))。

この本を読んで、私も、本業である研究活動を一層頑張っていこうと決意を新たにしました。

 

最後に 

本書は本当に名著で、引用した部分以外にも、参考・勉強になる部分がたくさんありました。未読の方は、是非お読みください。私も繰り返し読み返していきたいと思っています。

それではまた!