京大准教授の投資日記 ~優待バリュー株で楽しく億る~

若手京大准教授(理系)が優待バリュー投資をベースとしつつ、「楽しく」億り人を目指します!

書評「価値の探究者たち」 ②

 今回は、書評『価値の探究者たち』の第2回目をお送りします。

1回読み切り記事のため、前回の記事を読んでいなくでもお楽しみいただけます。

ちなみに、前回の記事はこちら。 

shima-jin.hatenablog.com

 

 

今回は、  3~5章に登場する3人の投資家について、印象に残ったフレーズを紹介します。

第3章 トーマス・カーン(アメリカ)

株式市場は人間の心理の影響を受けているのだから、賢明な投資をしようとすれば金融知識だけではなく、心の持ちようがきわめて重要になる。マーケットが熱狂や過度な悲観論に包まれているときは特にそうだ。(45頁)

 市況が良くて、みなが「買いだ」といっているときに、それに流されないようにするのは、言うは易し、行うは難しだよ。同じように、マーケットが危機に瀕していて、みなが「マーケットは死んだ」といっているときは、逆に買う勇気をもたないといけない。逆張り投資家であるコントラリアンになるためには、いろいろな場面で修練が必要なのだ(46頁)

 

逆張り投資家であるカーンは、メンタル (合理的な判断に従う忍耐や勇気)の大切さを説いています。本章は、相場が過熱化したり(今?)、急落したりした際には、必ず読み返したい章です。

 

「バリュー投資は、本質的に逆張り投資だ。いまは人気が落ちている株を買い、人気が上がるのを待つ。……」今後の見通しが良好な銘柄に投資すればいいという単純な図式をカーンは問題視している。既に人気がある銘柄で、その企業の財務予想も素晴らしければ、投資家はバカではないので、そんな株はもはやプレミアムがついて割高になっているはずだ。…「…何が正しいのかとは聞かずに、何が間違っているかと聞くのだ。状況が壊滅的ではなく、株価はかなり売り込まれているということは、値下がりリスクは限られていて、値上がり期待がかなりあるということを意味する…」(53~54頁)

過剰なボラティリティは、短期的には、私たちのポートフォリオに悪影響を及ぼす。しかし、私たちが十分に規律を保って、忍耐強ければ、それはこれまでよりも割安に株を手に入れる機会になる。安全域に配慮すること、人気はないけれど潜在的に価値のある株を長期にわたって保有し続けることを常に心にとどめていれば、私たちの保有株は最終的にはまた人気が出るだろう。(59頁)

 

「人気」という観点で、バリュー株かどうかを判断している点は、参考になりますね。

人気がない銘柄においては、市場が効率的でなく、株価が割安に放置されている可能性があるからです。株価が明らかに間違っているところに、大きな投資チャンスがあるのですね。

 

 

第4章 ウィリアム・ブラウン(アメリカ)

私にとって、株とは、企業のビジネスが生み出す利益のことだ。このとても単純な答えの意味を理解しているならば、投資にあたっては、企業のビジネスが成功するかどうかを徹底的に調べ上げざるをえないことになる。(63頁)

ビジネスの質が良く、持続可能性が高いと考えられる企業であれば、その株がもたらす長期的なリターンは、どんどん累積し、最終的に非常に大きなものになる。一度、こういう株に投資すれば、頻繁に売買する必要はないし、日々の株価の変動に悩まされることもなくなる。」(70頁)

「私たちがやっていることの本質は、安定的なビジネスを探し出し、それを手にするための価格が、そのビジネスの本来の価値よりも低いことを確認することなんだ。」(73頁)

 

ブラウンは、グレアム流の資産バリュー投資ではなく、収益バリュー投資を掲げ、企業のビジネスモデルを重視した投資家です。

 

私も、すばらしいビジネスモデルをもった会社を安い値段で大きく買い、主力銘柄として、じっくりホールドしたいと考えています。そんなチャンスはなかなかないのですが、市場の暴落時がチャンスですね。その時が来たら、勇気をもって買いに向かいたいです。

 

「どうして25番目の銘柄にまで分散投資する必要があるのか。ベスト10の銘柄に投資することで十分ではないかと投資家から聞かれることもある。でも、私たちは、正直なところ、どれが本当のベスト10かを確実に言えるわけではない。やはり分散しておいた方がいいのだよ。」

分散投資をしておくことによって、保有銘柄に過度に固執しなくなるという副次効果もある。長期的に素晴らしいと思われる企業を見出しても、いつも株価がすぐに上昇すし始めるわけではない。ポートフォリオの構成銘柄を少なくし過ぎると、特定の銘柄の値動きが四六時中気になって、その企業のビジネスの内容ではなく、株価を見て、ばかげた売り買いをしてしまう。適度に分散をしておくと、そういった不安を減らすことができる」(78頁)

 

バフェットは集中投資派ですが、ブラウンは分散投資派で、ここでは、分散投資の効用について説かれています。分散か集中かは程度問題で、投資家の資産規模・経験や知識・メンタルなどによって、どの程度の分散・集中がよいかが、投資家ごとに異なってくると思います。

ブラウンのいうような、分析の正確性やメンタル面を考えれば、初心者ほど分散投資が良いといえるでしょうね。このテーマは、永遠の課題で、投資家を続ける限り、常に意識し続ける必要があります。

 

 

第5章 ジャン・マリー・エベヤール(フランス) 

 

 「もしバリュー投資がうまくいくのなら、もちろん私はうまくいくと考えているが、なぜバリュー投資家はこんなに少ないのだろう。これには、人間の心理が関わっている。バリュー投資家であるならば、長期投資家でなければならない。長期投資家であれば、短期的には仲間の投資家やベンチマークよりもパフォーマンスが劣ることを受け入れる必要がある。それは心理的にも金銭的にも、苦しみに耐える覚悟を持つということだ。・・・バリュー投資家は、報酬があるとしても、それがすぐに手に入るものではないこと、簡単に祝福されることなどないことを受け入れる必要がある」(89頁)

「人は完全ではなく、間違うこともあるから、謙虚でいることは大事だ。必要以上に高値で買わないために、投資に当たっては、十分な安全域を確保する注意深さも必要になる。グレアムが言うように、『マーケットは短期的には投票数の集計マシーンだが、長期的には重量の計測マシーン』だから、投資が実を結ぶまで長期間待つことができる忍耐力をもたなければならない」(89頁)

 

エベヤールはフランス生まれのバリュー投資家です。上記引用部分では、 忍耐力と安全域の大切さを的確に説いています。私も、「安全域」と「忍耐力」は、バリュー投資に必須の要素で、常に意識しておくべきだと考えています。

買うときには、企業の価値を疑いの目で割り引き、安全域を確保する。買った後は、自分の分析に誤りがない限り、信じぬいて保有し続ける。言うは易く、行うは難しで、修練が必要ですね。

 

バリュー投資が実を結ぶ貯めには、忍耐が必要なのだが、時には、ノーと言う勇気も必要だ。特にマーケットが熱狂しているときには、その勇気が必要になる。「何を買うかではなく、何を買わないかが重要になるときもある。」(99頁) 

 

このような考えから、エベヤールは日本のバブル期に日本株から撤退し、アメリカのITバブル期にはITセクター株を買わなかったとのことです。

 

現在、ゲーム株・バイオ株などが「熱狂」しており、うまい人(単に運が良いだけかも?)は短期間でバリュー投資家の何十倍もの利益を上げています。そういうのを見ていると、ついそうした流行りの株に手を出したくなってしまうかもしれません。

しかし、自分に強みのない手法や銘柄に、安易に手を出すのは極めて危険です。

「損をしないこと」

これは、バフェットのルール1として有名ですが、エベヤールも、本書でその大切さを繰り返し主張しています(84頁・94頁)

エベヤールのように、自分の投資方針から外れたもの(損失のリスクが大きい投資)には、ノーと言う勇気を持ちたいものです。

 

 

今回はここまでとさせていただきます。

この書評シリーズは、自分で繰り返し読み返す目的で書いています。

なので、少々長くなっております。。。

 

③につづく(スペインやイギリスのバリュー投資家が登場)。