京大准教授の投資日記 ~優待バリュー株で楽しく億る~

若手京大准教授(理系)が優待バリュー投資をベースとしつつ、「楽しく」億り人を目指します!

書評・村上世彰「生涯投資家」

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今日は、最近読んだ本の書評を書きたいと思います。

今回紹介する本は文藝春秋から先月刊行された「生涯投資家」という本です。

著者は、村上ファンド代表者として2000年代に一世を風靡した村上世彰氏です。

 

内容は、おおきく2つに大別され、

①著者の子供時代・官僚時代・ファンド運用者時代の経験談と、

②日本企業・日本社会が抱える問題点とその解決策(著者の熱い想い)

から成っています。

 

非常に情報量の多い本で、多くの点で勉強になりました。

この記事では、特に参考になった点を3点あげたいと思います。 

 

特に参考になった3点 

①投資家としての基本的な考え方が書かれており、参考になること

例えば、以下のような点です。

・村上氏の父の言葉「上がり始めたら買え。下がり始めたら売れ。一番安いところで買ったり、一番高いところで売れるものだと思うな」(11頁)

 

・投資は「期待値」で考えるという著者の投資哲学(16頁・58頁)

 

損切りの重要性「失敗しない投資など投資とは言えない……投資家として大事なことは、失敗した時がついたときにいかに素早く思い切った損切りができるか。下がり始めたら売る決断をいかに速やかにできるか、ということだ。それによって失敗による損失を最小限に止めることができる。」(57頁)

 

定性的な分析の重要性「投資につきものであるリスクを査定する際には、定量的な分析よりも定性的な分析が重要なポイントとなる。数字や指標の判断よりも、経営者やビジネスパートナーの性格や特徴を掴むことだ」(60頁) 

 

 

②著者が活躍した2000年代の株式市場の状況・各種事件や、いろいろな会社の経営者の人となりについて、学べること 

前者の具体例としては、

東京スタイル社でのプロキシーファイト(委任状合戦)

ライブドアによるニッポン放送買収の試みと、インサイダー取引容疑での逮捕・裁判

阪神鉄道への「物言う投資家」としての活動

 があります。

 

後者の具体例としては、

オリックスの宮内氏

ホリエモン

サイバーエージェントの藤田氏

楽天の三木谷氏

など があります。 

 

これらの点については、著者の実体験に基づいて詳しく書かれており、

当時の状況を知ることができるのみならず、現在の経済社会の情勢を理解する上でも、

大変役立つと感じました。 

 

③日本の企業社会が抱える問題点(=コーポレート・ガバナンスが不十分で、お金の流れが悪いこと)が明快に示されていること 

まず、前提として、上場のメリット・デメリットから上場会社としてあるべき姿が示され(22~27頁)、特に、「資金調達の必要がなく、経営において株主から横やりを入れられたくないというのなら、非上場化してプライベートカンパニーにするべきである」というのが著者の「一貫した持論」とされています(26頁)

すなわち、日本には意味もなく漫然と上場している会社が少なくなく、不必要な資金を内部にため込んでいる点が問題であり、積極的にMBOを行うことによって、株主に資金を還元し、社会の資金循環を良くすべきであると述べています。

 

そして、

日本企業がROEを重視して、株主利益にかなう経営を行うようになるためには、コーポレートガバナンスが重要性であると説き、「モノを言う投資家」の存在や、株主と企業との対話、株主がしっかりと議決権を行使することが、コーポレート・ガバナンスを改善に大いに役立つことを述べています(31~36頁、62頁、69~72頁など)。

 

要するに、

「コーポレート・ガバナンスと、その浸透による資金循環の促進」こそが経済成長を促す策だというのが、著者が官僚時代からの変わらない信念なのです(241頁)

 

おわりに (全体を通じての感想)

自分の経歴や思想・信条などをやや美化している(?)とは思うものの、

この本を読んでだいぶ村上氏のイメージは改善しました。

著者も、「自分の信念を信じ、その信念に自信を持ちすぎて、早急に物事を進め過ぎた」ために、多くの批判を受けてきたと振り返っています(276頁)。

 

とはいえ、本書を読んで、「出る杭を打つ」風潮が日本社会ではまだまだ強いという印象を改めて感じました。

主張の仕方やイメージによってではなく、主張内容の当否によって、人や物事の良しあしが判断される社会になってほしいです。

 

投資の力で、お金の循環を良くして、この国の経済や未来を良くしていきたいという村上氏の想いには共感できるところがあります。

個人投資家としてできることは小さいかもしれませんが、適切な議決権行使や株主総会での適切な質問、そもそも良い会社だけを買うといったことを心掛けたいです。 

 

本書に 興味のある方は、ぜひ書店で手に取ってみて下さい。

それではまた!

(参考記事)

shima-jin.hatenablog.com